第3話「運ちゃんの優しさ」
着いてからは、まず一番にトイレ。(笑)
次に、出入りの多いトイレの前のベンチで、
地図とスケッチブックを広げて行き先を書く。
その時にわざと、
「キュッ キューーッ キュキュッ!」と
マッキーで音を立てて書き、
自分の存在を目立たせる(笑)
「あの子ヒッチハイクやってる…(小声)」
こっちに振り向いてもらえるので、
それだけでヒッチハイカーは嬉しい。(ドM)
次に、
全体の規模、車の種類、外の人・車の流れ、
中の人の様子をチェックして回る。
そこにポツリと置いてあった
ご当地スタンプを試しにノートにペタり。
(完全かすれてるあたり、自身の余裕がまだ少ない。笑)
駒門同様に規模が小さいので
ここも【声かけスタイル】で行く。
うろうろ。
チラチラ。
うろうろ…
( 既に何回も断られてるが、
乗せてもらうことに必死なので
一つ一つどうフラれたかは覚えてない。笑)
ひたすら様子を伺い、
うろうろうろうろしてると、
車から、小柄で腰の丸い
ご高齢のおじいちゃんが出てきた。
こっちを見ているので (もしや?) と思ったら、
「ヒッチハイクかい?吉田まで行くから、
それでよかったら中にいるばぁさんに聞いてみぃ。」
それだけ言うと、
トイレにすぐ入って行ってしまった…
(おじいちゃん!乗せてくれるんですか!)
と喜びを抑えあわてて地図を広げると、
SA・PAまたがず
すぐに下道に降りるやつだと気付く…
今回のヒッチハイクは高速道路縛り。
しかし、おばあちゃんに一言断りたいにも、
隣の車がドアを大きく開けていて近づけない。
もじもじしていると今度はそこへ、
「ヒッチハイク?どこに行きたいの?」
とトラックのお兄さんが声をかけてくれた。
またもやあわてて行き先を告げると、
「狭いし汚いけど、
それでも良かったら乗せるよ。こっち。」
と、アッサリ快諾してもらう。
お兄さんは歩き出していて、
( おじいちゃん、声かけてくれたのに
何も言えずにごめんね!!…
おばあちゃんも、状況わかってるか
わからないけどごめんね!!爆 )
心の中で深く、謝罪。
後ろめたさを感じながらも、
トラックへ向かうお兄さんの背中を
駆け足で追った………。
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実は、正直なところ驚いた。
ベテランヒッチハイカーの友達から、
「トラックの人は、
声かけてくることはまずないけれど、
直接 声を掛けに行ったら必ず乗せてくれるよ」
と聞いていた。
できれば自家用車…
本当に先に進めなさそうだったら、
最終手段で…くらいに考えていたから。
( なんて優しいの……!!!)
と、静かに感動。
ちなみに
私の兄はトラックの運ちゃんで、
東京⇄大阪の長距離移動をしていた。
トラック乗りの人は一見冷つんとして見えるけど、
兄を見ていて、とても情に熱いことを知っていた。
なのでトラックの男性一人に乗せてもらうのには
とびきりの不安はなかった。(万が一は別)
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さて、
乗せてくれたお兄さんのトラックは、
超、超、大型だった (笑)
まず荷物を、
身長の高さほどの助手席に背伸びで乗せる。
サイドの手すりをしっかりと掴み、
ぐっっと、2段のぼる。
体制を直して前を向いてみると
「………め、目線が 高い (笑)」
超超大型トラックは、重量もあってかゆっくりと発進。
その高さとトラックのサイズからすると、
高速道路がちっぽけに見えるほどだった。
(高速道路を見下ろすことって初めてだ…)
お兄さんと少し話すと、
とのことだった。
そして
【本当は、ひとつ手前の日本平PAに入ろうとしたところ、PA入り口付近で、走行場所の悪い車がいて入れなかったため、一つ先の日本坂PAに降りた。】
更には、
急に遠いところへ荷物運びに行くよう
言われることがあるようで、
【今回はたまたま特別ルート。】
だったとのこと……
ここでまた、はたと気付く。
この旅は、奇跡に奇跡が重なって進んでるんだ。
奇跡!ラッキー!の、レベルではなく
【 奇跡 × 奇跡 = 必然‼︎ 】
と思うほどだった…
だってもうすでに何回奇跡あった?!爆
(実は、最寄駅の始発の電車時刻を間違えてて、一発目から乗り損なうところだった。)
誰一人として欠けてはいけなかったし、
絶対に時間がズレてはいけなかった。
てことは…
【タイミングが、一番重要なのか!!!】
………と、一人考察していた。
そして、
火力発電のパーツを運んでいること。
超大型トラックのため、ほぼ自動運転だということ。
仕事中に、他のトラック乗りと通話して
情報共有すること。
(トラック乗りの人はチームワークが大切なんだと知る)
トラックの種類。(ハコトラ教わった)
家族の話、お嬢様2人が活発な話…
「白と緑ナンバーがあるけど、乗せてもらうなら白ナンバーにしな。個人でやってるから、縛りがきつくないから、乗せてもらいやすい。」
あと
「中が見えないような黒いワンボックスには乗るな」
と…
本当にみんな私の身を心配してくれるのだから、
(日本てなんて安全なんだろう。)
としみじみ思った。
静岡出身のなまり(だもんで〜が印象的)と、
飾らずに淡々と話をしてくれるその優しさ。
穏やかな時間に浸りながら、
写真はNGだったが、
握手、達磨にメッセージを貰い、
お兄さんとお別れしたのだった…
冷静でありながら情に熱い素敵な方。
お兄さん、ありがとうございました…!!
いつも、このお別れする瞬間に、
心が一杯に満たされていることに気付く。
サイコーに幸せだ。
つづく。